menu
kizunakobo地域未来牽引企業
0796-43-2880
月~金 9:00~17:30

【絆のカタチ】No. 60過去と未来の命をつなぐお寺 宗鏡寺14代目住職・小原游堂様

公開日:2022年09月05日 カテゴリー:information, ニューズレター, ブログ タグ:

絆工房と沢庵寺

小京都と言われる情緒あふれる出石。透き通るような白さが特徴の出石焼きや、兵庫県最古の芝居小屋、永楽館があったりと歴史ある城下町。
今回の取材先は、出石にあるお寺、宗鏡寺(すきょうじ)

いつもは商売を営む経営者に会う為に、お店のブランドそのものの意味を持つ「のれん」をくぐるのですが、今回は山門をくぐりました。
臨済宗、圓覚山宗鏡寺現住職、小原様に【絆】のお話しをうかがいます。

 

石城から徒歩10分のところに宗鏡寺があります。
戦国大名、山名氏清公の菩提寺として1392年に創建され、江戸初期の禅僧沢庵宗彭が再興。
現住職は、14代目、小原游堂様(43歳)です。

ー笠原 「小原さんは、このお寺で生まれた方ですか?」
ー小原さん 「いえ、熊本出身です。」

ー笠原 「熊本のご実家もお寺だったのですか?」
ー小原さん「いえ、それも違って両親は天ぷら屋を営んでいました。」

今回この取材をするきっかけになったのは、ご実家のてんぷら屋さんののれんのデータデザインを使って、
そのデザインの上に宗鏡寺の別名沢庵寺の「たくあん」という文字をいれたTシャツの制作依頼がきっかけでした。

 

 

沢庵寺Tシャツ

 

 

ー笠原「そもそもどうして僧侶になろうと思われたんですか?」
ー小原さん「それは、私はちょっと変わった子供でしてね。幼い頃から死に対して畏怖の念を抱いていて、
おもちゃが壊れても悲しくなってお墓を建てるような子供でした。
でも壊れたからといって新しいものを買って欲しいとは不思議と思わなかったんです。
また、両親が共働きということもあって、おばあちゃんと過ごす時間が多く、一緒に毎日お地蔵さんに手を合わす環境で育ちました。
母親がお茶の稽古をしており、京都大徳寺と縁ができて、お土産話に小僧さんの話を聞くうちに自分も出家したくなり、願い出ました。両親は最初一時的なものと思っていたみたいですが、あまりにもしつこく私が言うので、『大徳寺の厳しい修行を目の当たりにすれば諦めるだろう』と連れていかれました。

結果、13歳で臨済宗の大本山大徳寺聚光院で得度。

—笠原 「修行生活はどうでしたか?」
—小原さん「これが、楽しかったと言えば語弊があるのですが、苦になりませんでした。帰りたいとは一度も思いませんでした。ただ、そうは言ってもまだ中学生ですから、親の声を聞きたくて毎日電話しては泣いてました。」

その後、仏教系の花園大学を卒業、大徳寺専門道場で修行。29才で宗鏡寺の住職に就任。

 

■【命の循環プロジェクト】

 

—笠原「宗鏡寺はどういうお寺でしょうか。」
ー小原さん「スピード重視、合理性重視の世の中の流れの反対をいくお寺といいましょうか。
今、【命の循環】プロジェクトというのを進めています。
宗鏡寺は400年の歴史があるお寺ですが、やはり老朽化が進んでおり去年から全面改築工事をスタートしました。
改築に使う木材は、外材ではなく、3代前の住職が植林したものを伐採して使います。
現在、自然乾燥しているところです。この乾燥は非常に時間がかかります。
年末に伐採した檜を、葉をつけたまま放置して水分を蒸発させます、それから翌年の梅雨入り前に搬出して製材です。
僕の生きているうちに工事が完了するかは分かりませんが、大切な技術の継承や但馬の自然環境を次世代への財産として繋いでいきたいと思っております。
過去の人と出会うことはないですが、伝統技術を通して過去の人と会話できる、そして過去と未来をつなぐ中継ぎのような感じのお寺です。」

■200年前というと江戸時代。江戸の宮大工の伝統技術に出会える場所

 

ー小原さん「そういう意味でも、過去と未来のつなぐ接点としての宗鏡寺でありたいと思います。」
ー笠原「今とても壮大なプロジェクトを行われているんですね。過去の人との絆を感じます。未来に対してはどうですか?
どんなお寺を目指しておられるのですか?」

ー小原さん「そうですね、お寺が、最先端にならないように気をつけております。
テクノロジーのように時代の先を行くというより、社会の受け皿のような存在でありたいです。
足の悪い人やお寺を参拝されたいということで、色んな人に楽に参拝できるようバリアフリーの話しも出たこともあり、実際にその足の不自由な
方を招き案内しましたところ、
「一生懸命に坂道を登って、段差のあるところも乗り越えてやっとお参りすることができた。有り難いことです。」と言われました。

お寺は修行する道場だと改めて気付かされました。
やはり、ある程度はアナログでなければなりません!
社会の価値観に当てはまらない人も一緒に修行出来る、そんなところが私の理想です。」

 

■目の前のことに一生懸命になること

ー笠原「人は、生きるか死ぬかを経験しないと一生懸命にならないですね。
僕も勤めていた会社が倒産、借金して起業した矢先に病気になり余命宣告されたんです。
このことがきっかけで、困難な事が起っても、命まで取られることはないと開きなおって挑戦してます。」

ー小原さん「そうですね、私も若い頃、生死の境に得るものがあるのでは?と崖に登ったことがあります。
でもその時に思い浮かんだのは母に対して申し訳ない気持ちでした。死を自らが作ってはだめです。
今を生きること。何か大きな事を成し遂げるよりも今を懸命に生きる事が大事です、
そして感謝の念を持つことじゃないでしょうか。」

圓覚山
宗鏡寺
〒668-0217 豊岡市出石町東條33

 

 



   


   


PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com