
お盆休みが明けた。
いつものように仕事が始まった絆工房で、
一人のスタッフが、和歌山へ旅立った。
旅行ではない。
帰省でもない。
ましてや、
日本一の落差を誇る名瀑であり、強力なパワースポット、那智の滝の観光
でもない。
2週間の研修。
向かった先は、
島精機製作所。
目的は、
ホールガーメント横編機の研修。
今年度から立ち上がった新事業ニット事業の研修。
たった一人で。
ひとり。
ONE。
同僚はいない。
「今の説明、聞き逃した。メモ見せて」
もできない。
「これ、どういう意味だった?」
と隣の人に聞くこともできない。
「昨日のところ、もう一回教えて」
と寄りかかる相手もいない。
つまり、
全部、自分で聞く。
全部、自分で覚える。
全部、自分で持ち帰る。
なかなかの修行である。
もはや、
「研修」というより、島精機に2週間監禁……いや、修行。
そんな言葉が頭をよぎる。
1人奥さんを豊岡に残して。
(たいてい日本は奥さんは1人だけど)
しかも、研修に行くにあたって問題が1つ。
それは、
縫製業務だ。
スタッフが和歌山へ行けば、
当然、
絆工房の現場から一人いなくなる。
つまり、
その2週間、
縫製業務がストップしてしまう。
これは、
なかなか困る。
そこで、
絆工房側から、
ある画期的なアイデアが生まれた。
いや、
今の時代なら、
誰でも一度は考えるだろう。
「ZOOMじゃ、ダメですかぁ〜〜?」
そう。
わざわざ和歌山まで行かなくても、
画面越しに教えてもらえばいい。
講師は和歌山。
受講生は豊岡。
距離、
かなりある。
でも、
ZOOMなら、関係ない。
日本中、いや、世界中、つながる。
文明の利器である。
「これなら縫製業務も止まらない♪」
「職人も豊岡にいられる♪」
「研修も受けられる♪」
「移動時間もゼロ♪」
完璧だ。
絆工房、なかなか賢い。
……と思った。
そして、
担当者に聞いてみた。
「ZOOMでの研修は可能でしょうか?」
すると、
返ってきた答えは、
驚くほど早かった。
「出来ません。
編機の講習等はオンラインはしておりません」
以上。
終了。
ですよね。。。。
いや、そりゃそうだ。
今なら、
ZOOMで会議もできる。
ZOOMで商談もできる。
ZOOMでセミナーもできる。
ZOOMで飲み会だってできる。
しかし、
今回学ぶのは、
ホールガーメント横編機。
つまり、
目の前に機械がある。
実際に触る。
操作する。
動きを見る。
糸の状態を見る。
機械の音を聞く。
そして、
「あれ?」
となる。
実際に手を動かして、
「あ、こういうことか。」
となる。
これを、
パソコンの画面越しに、
「では右手をもう少し上に……」
「いや、そこではありません。」
「画面の左側にあるレバーです。」
「……見えません。」
となったら、
もう、
オンライン機械教室コント。
「縫う」職人が、「編む」世界へ。
これまで縫製の現場で腕を磨いてきた職人。
その職人が向き合うのは、
「縫う」ではなく「編む」世界。
しかも、
ただ編むのではない。
ホールガーメント。
一着を丸ごと編み上げる、
まったく新しいものづくりの世界。
これまで培ってきた経験が、そのまま通用するとは限らない。
だから、
「機械操作を覚える」
ということは、
単にボタンの場所を覚えることではない。
機械そのものを知る。
触る。
失敗する。
考える。
またやる。
そして、
自分のものにしていく。
ZOOMで何でもできる時代だと思っていた。
でも、
機械そのものは、画面から出てこない。
当たり前だ。
機械は、和歌山にある。
スタッフは、豊岡にいる。
なら、
どちらかが動くしかない。
そして動くのは、
もちろん、
スタッフの方。
こうして、和歌山行きが決まった。
会社が新しいことを始めるとき、
最初から完璧な人なんていない。
「できる人」が挑戦するのではなく、
挑戦した人が、できる人になっていく。
それが、
ものづくりの土台。
今回の研修で、
何を学ぶのか。
何に驚くのか。
何に苦戦するのか。
その姿をこれからこのページで随時紹介。
今日も、
和歌山では、
一人のスタッフが、
ホールガーメントと向き合っている。
孤独のホールガーメント研修、始まる。
だから、会社も本気にならないといけない。
絆工房がこれから挑戦する、
ニット事業の第一歩。
プリントだけではなく、
縫製だけでもなく、
「編む」ことまでできる会社へ。
どうぞ、お楽しみに。☺️
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
【研修1日目】
「和歌山に2週間監禁……いや研修」
↓
「ZOOMは出来ません」
↓
「仕方なく一人で和歌山へ」
↓
「で、初日にもう編んでる。」
