【絆のカタチ】No. 18BITO R&D・美藤定様
桜も散って新緑の季節を迎えました。 卒業式があり、進学がありこの時期は新たなスタートの季節ですね。
今回のニューズレター、絆のカタチはこの時期にふさわしい方をご紹介します。 世界で活躍されている美藤 定(62)さんです。
奇遇にも私の高校時代の先輩でした。
そんな美藤さんから映画が一本出来るような波瀾万丈な人生を熱く語って頂きました。
現在、株式会社 ビトーアールアンドディーはレース用バイクのチューンナップ用品の分野で
世界的に有名なメーカーとして君臨しています。
しかし、当然ながら若かりし頃の彼に今の成功が見えていたわけではありません。
勉強が出来るわけでも無く、何の取り柄もなく周囲からは厄介者的な存在でした。
高校時代バイクを乗り回し事故って警察に捕まったりと、もう散々な日々を送っていました。
そんな彼の人生を変えるキッカケが訪れました。
大学受験を失敗し、やけになっていた19歳の夏、沖縄が日本に返還ニュースが飛び込んできました。
片田舎にくすぶっていた彼は妙に心惹かれ沖縄を尋ねる決断をしました。
しかし彼には旅行が出来るお金がありません。
ですからリュック一つ背負って野宿と歩きで行くことにしました。
沖縄に着いた時にはたったの1万円。
その沖縄のビーチで運命の出会いがありました。
それは米国の兵隊でした。
彼らは南国の浜辺でビーチバレーしたり、ビール片手に美味しそうなバーベキューをしたりと、
実に楽しそうにはしゃいでいました。
そんな彼らを遠くで羨ましく眺めていたところ、若い米兵が声をかけて来ました。
つたない英語単語でのやり取りでも直ぐに若者同士ということもあり仲間に溶け込みました。
何日か一緒になって楽しく過ごしていたのですが急に彼の表情が曇り、やがて目に涙が溢れているのに気付きました。
そのわけを訊いてみると、 「我々はもうすぐ戦地(ベトナム)に戻らねばならない、おまえはいいなぁ〜、自由で!・・・」と。
そうです、彼らには明日は殺すか殺されるかの戦場が待っているのです。
そこから逃げ出す自由は与えられて居なかったのです。
・・・そんな彼らに比べ、俺には自由がある。
今まで不平不満をいつも吐いてきた。いつも不満の原因を親とか周囲の性にしてきた。
しかし、よく考えてみると米兵の様に強制されることなく、何でも出来る自由が与えられていることに気づいた。
俺は「何もやれなかったのでは無く、やらなかっただけなのだ」と言うことに、
結果はどうあれ、やれば出来る。何の制約もなく・・・。
その気付きに心の霧が晴れるように世の中の見え方が変わったに違いない。
彼は確実に生まれ変わった。
それから間もなく新天地を求めて彼はアメリカに旅たちます。
もちろんまた無一文で。
そして、あのヨシムラと出会い、次々に起こるハプニングに翻弄されながら、
あのル・マンのレースを支えるエンジニアスタッフとして活躍することになるのです。
どうです! スゴイでしょう。
笑ってしまうほどの痛快な人生をお伺いすることが出来幸せでした。
皆さんの新しい期のスタートに幸あれ。
美藤さんの益々のご活躍を祈念しております。
以上