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【教育は自分づくりが大事】No. 41日本アウトワード・バウンド協会 教育事業部部長 田中裕幸様

公開日:2019年07月20日 カテゴリー:ニューズレター タグ:

大学卒業後、ゼネコン、国会議員の秘書、企業コンサル業を経て日本アウトワード・バウンド協会(以下略OBJ)に就職。7年間の勤務後、自らの会社、『アウトドア・エデュケーションセンター(現)エッセンシャル・エデュケーション』を設立。また、『国立淡路青少年交流の家』の所長就任と多方面から人材育成をプロデュース。現在は会社を息子さんに譲り、2016年OBJで再び教育事業部部長及び関西校ディレクターに就任。2017年4月、旧豊岡市立西気小学校にOBJ関西校が開設。高原の涼しい風が吹き抜ける窓際で話しを伺いました。

会長笠原と同じようにこんがりと日焼けされているのはテニス仲間とのこと。
納得の褐色。

■『冒険活動の中で普段の自分の姿が表れる』

絆工房とアウトワードバウンド田中さん

― 笠原 「OMJはどんな活動をされているんですか?」
― 田中さん「創始者はイギリスのパブリック・スクールの校長クルト・ハーン。
大自然を舞台にロッククライミングやカヤックといった普通の学校では体験できない冒険活動を通して自分を振り返る、
こうありたいという自分の発見しようという活動をしている内閣府認定の公益財団法人です。」

実は、同じ神鍋高原にある植村直己冒険館の登山家植村直己氏の生前アメリカのアウトワード・バウンド協会で
犬ぞりインストラクターを務めたことがあるとのこと。
植村氏も帯広に冒険学校を設立する夢を持つほど青少年育成に情熱をかけていたと言われています。

遠いアメリカのアウトワード・バウンドでインストラクターを務めた植村氏の植村直己冒険館と
OBJ関西校が同じ神鍋高原にあるのは不思議な縁。
この縁を生かし、神鍋高原をどう活性化させるか。


― 田中さん「ロッククライミングやマウンテンバイクといった冒険活動の中では普段の自分の姿がよく見えてきますね。
日常生活でどうにかして壁をよけてやり過ごそうという人(大人でも子供でも)はロッククライミングでもそういう登り方をしています。またマウンテンバイクで限界まで足をつけずに登るチャレンジを子どもたちにさせて、どのような時に足をついたか尋ねてみると、他の子供が足をついたのを見た時といいます。
自己限界が他者との比較になるんですね。様々な場面で『私』という主語で語れない、「私はこう思う。」が言えない子が多いですね。周りの様子を見ながらの発言や行動が多く見られます。」

― 笠原 「出る杭は打たれるからみんなが周りの顔色をうかがって自分の行動を決めるところがありますね。
ただ、ちょっとだけ出ると打たれるけど、思いっきり出てしまったら打たれないと思うよ(笑)。
神鍋高原を含めて地域産業の活性化を考える時に、一番投資効果が高いものは何かというとそれは教育じゃないかと思うんです。ただこの教育が(実を結ぶのに)時間がかかるんですよね。
だからOBJの主な活動を自然豊かな神戸高原からどんどん発信して若者を育てていくことがこれからは大事じゃないかな。」

■ なぜ 底辺 x 高さ÷2なのか?地頭力を育てる

 

― 田中さん「日本の学生は、公式はよく知っている、正解も知っている、でも正解のない答えを導き出すことは苦手。
三角形の面積を求める公式は、テイヘン カケル タカサ ワル 2は知っていても、なぜ2なのか?
自分なりのロジックで説明することが出来ない。不登校キャンプというプログラムの中の若者達が
『学校や大人に「なんで?なんでダメなんだ?」ってこっちがダメな理由を聞いても「ダメなものはダメ」「校則だからダメ」という納得ができない返答ばかりが返ってくる』と言ってます。
自分の発見したり感動がない。
世界一教育水準が高いのはやはり北欧ですが、その中で幼児の自然体験や環境教育、森のようちえんといった活動が盛んです。子どもたちが森の中に入っていろんなことを学ぶのですが、例えば、森に入った時にたまたま動物の死骸に遭遇すると、子どもたちは頭を寄せ合って、なんで死んだんだろ?からはじまって、土に埋めた方がいいんじゃないか?いや、他の動物の餌になるようにこのままにしておこうと色んな意見が飛び交い、延々と話している、
そんな子供たちを先生は何も言わずただ見守っているんです。
本当は、子どもたちは別の目的で森に入ったはずなんです。
先生にそのことを尋ねると、『デモクラシー(民主主義)ですから』という答えが返ってきます。
教育はなんの為にあるのか徹底しているんだと感じました。日本だと、「あー汚いから触っちゃダメ。先に言っておきなさい。その間に先生がお墓を作っておくから後で皆で手を合わせましょう」というふうになるんじゃないでしょうか。」


― 笠原「常に先生や親が答えを用意してお膳立てしてしまっている。転ばぬ先の杖を親が立てすぎて子供が身動きとれなくなってしまっています。出来るだけ杖を立てないことですね。」

 

■ 強調と同調は違う

絆工房とアウトワードバウンド田中さん


ー田中さん 「日本の学生は、公式や正解はよく知っているけど、問題が起きてエラーを自分でリカバリーする力がないですね。野外活動で飯ごう炊さんをした時、ある班がお米を地面に落としてひっくり返してしまったんです。
『ご飯を落としました!』って言いに来たもんだから
『それで?』って言うとびっくりするんですよ。
しばらくするとまたやって来て『代わりにお米はありませんか?』と言うから
『ない!』(笑)というとまたびっくりして今度は
『他の班のご飯を分けてもらってもいい?』と聞くから
『いいよ、先生のところにはないけど』。


問題が起こった時にどう解決していくかを自らの力で考える機会をもっと体験を通して学んでいくことが必要です。
転んだらどうやっておきあがったらいいか、それを家庭も学校も教えていないから問題が発した時に、ヘルプメッセージが出せない、声を出せない、そして周りも声をかけない。
その結果、せっかく一流大学を卒業し、一流企業に就職したのに会社にいけなくなってしまう。
3年以内の離職率が30%ですよ。会社を辞めた後の方が人生長いんですがね。」

― 笠原 「企業に求められるのは人間力。教育までを会社が教えるわけにはいかないから、
社会に出る前にこういう田中さんのような活動の場で若者が自活、自力することを学んでいって欲しいと思いますね。」


― 田中さん 「学校の教室によく壁に『仲間づくり』と掲げられていますよね、でも本当は『自分づくり』なんですよ。
まず、自分というものが大事
『私はこう思う』『私はこうする』という、【色んな私】が強調していけるような仲間づくりなら大事なんですが、
そうではないですよね。皆と同じことをすることを求められる。ずっと学校では同調しろと言われ、社会に出た途端にいきなり自分で考えて行動しろと言れる。
『そんなこと学校で教えてもららってませんけど』って話になる。人間館kネイのストレスを他人のせいにしてしまったりね。日本の学力は低下していると言われていますが、僕は基本的な学力はいぜんとして日本は高いと思っています。
保有能力はある。ただ発揮能力がない。それをOBJのようなところで発揮できる、そんな場を提供できたらと思います。」 

アウトワードバウンド

若者を社会という大海原にもうすぐ送り出そうという意味をこめたOBS のロゴマーク。
学校で教えられることと社会や会社で求められる人材や人間性の間を、大自然というツールを使って限りなく縮める。

学びと実社会のギャップを埋め、本当の自分自身に気づき自分がどうありたいか、そのことを社会の中で実現しようとする強い気持ちをもった人を養う活動。これが田中さんの目指す活動です。
経営と教育、実は密接につながっています。

以上

 



   


   


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