【絆のカタチ】No.21暮らしの学校(農楽の〜ら)代表 木村 尚子様
兵庫県豊岡市出石町鳥居に広がるのどかな自然の中に農楽(の〜ら)があります。
今回お話しをうかがったのは、障害として理解されにくい軽度発達障害や対人関係の不調などの理由で
社会に参加することができない若者たちが、再び社会に復帰する前にちょっと一呼吸おいて体力、気力を充電することができる、そんな家と社会の中間的な居場所というべき「農楽(の〜ら)」。
そこの学校代表の木村尚子さんです。
■ 子育ての最終ゴール
子供をもつ親であれば誰でも子育ての最終目標は、
自分が亡くなった後に我が子が一人でも食べていけるように自立させること。
木村さんには軽度の発達障害がある息子さんがおられます。
周りに仲間や指導者がいて、自分で食べ物を作り出せるようになれば、安心して先立てるのではないかと、その親心から立ち上げたのが暮らしの学校、農楽です。
木村さんは大阪出身。
ご主人の生まれ故郷に20年前にここ豊岡市に来られました。
外大卒の木村さんは、田舎に移っても仕事ができるようにと、フリーランスのコンピュータ技術翻訳を家で続けておられました。
そんなある時、ひたすら黙々と朝から晩までパソコンの前で仕事をする働き方に疑問を感じ、
パソコン画面からふと顔をあげた時にそこに広がる自然の存在に目をとめられました。
縁あって自然体験活動やまちづくり活動に参加する中で、有機農業に出会い、共感しあえる仲間も増えてきて絆が広がっていきました。
当初は、息子さんのために立ち上げた農楽でしたが、ひきこもりがちな人達が社会に出て行く第一歩として、様々な若者たちが通ってくるようになりました。
農楽では、天候、環境条件によって思い通りに育たない農作物と格闘したり、失敗OKな雰囲気の中で、若者が共働作業を積み重ねることで、実際の社会に飛び込んでもしぶとく生き抜ける力を時間をかけて育んていきます。
■競争社会にしぶとく生きぬく力となるもの
ー木村さん『見た目にはほとんどわかりにくい障害や困難をかかえている人はどの時代にもいたはずだが、社会全体に余裕がなくなってしまった今、そういう人達がますます生きにくくなっています。』と木村さんは言います。
確かに、競争社会の今は、障害あるなしに関わらずどんな人でも生きにくい時代。
長い人生の中で途中で息切れして立ち止まる時は誰にでもあります。
そういう中で、誰かからの「大丈夫?」の一言でその疲れた人が、社会から後退することなく、その場に踏みとどまることができれば、誰にとっても、もう少し余裕が生まれてくる社会になるのではないでしょうか。
ー木村さん「立ち止まってしまいがちな若者をサポートするのは面倒な面もあるが、サポートする側にとってもコミュニケーションスキルアップになるはずです」
木村さんは、地域や職場への呼びかけも始めておられます。
相手に分かってもらう工夫をすることで、見通しのよいコミュニケーションの空間が生まれ、お互いのコミュニケーションが活発になれば、そこに絆が生まれてきます。
絆は、一方通行では生まれません。
こちらから、むこうから、双方からの糸で紡いでいくのが絆。
障害のある人もそうでない人も、それぞれの活動する境界線をボーダレスにすることで、誰にとっても生きやすい社会が生まれてきます。
インタビューをさせていただいている時に1人の青年が、
手作りのカスタード入りトーストを作ってもってきてくれました。
なめらかなホイップクリームも添えられてとてもオシャレでとても美味しくいただきました。
ごちそう様でした! 手作りの温かいスイーツでほっこりしたインタビューの時間になりました。
男性からのおしゃれなスイーツでおもてなし。女の私でも気がつくかどうか。勉強になりました。
有難うございました。