昇華プリント専門|オリジナルウェア・ユニフォーム制作|絆工房

「……あの、届いたユニフォーム、思ってた色と違うんですけど……」

このセリフ、昇華転写プリントの現場では“あるある”中の“あるある”であり、
全アパレル担当者がこの言葉を聞くと「はぁ・・」と3度ため息が出るレベル。

例えるなら、
マッチングアプリでプロフィール写真(加工MAX)に恋い焦がれ、
いざ初デートの待ち合わせ場所にウキウキとスキップしていくと、
イメージが違いすぎて心臓がバクバクする、あの切ない感覚に似ていませんか?

「今日からこの色鮮やかなグリーンで戦うぞ!」と期待値MAX、
ワクワクしながら段ボールを開封したチームメイトたち。

しかし、そこに現れたTシャツが、画面で見ていたあの鮮烈なグリーンではなく、
“おばあちゃんが毎朝お茶を飲む、使い込まれた霞んだ湯呑みグリーン”だった時の絶望感たるや……。

一瞬で現場の空気が凍りつきます。

そんな「色ズレという名のマッチング悲劇」を未然に防ぐために降臨した絶対的な救世主、
それこそが『CMYKカラーチャート』。

今回は、昇華転写の色合わせと色調整の裏側に隠された、
絆工房のプロフェッショナルな秘密を解き明かします。

そもそもCMYKカラーチャートって何?

「CMYKカラーチャート」とは、シアン(C・青)・マゼンタ(M・赤紫)・イエロー(Y・黄)・キープレート(K・黒)の4つのインクの組み合わせを、細かなグラデーションで格子状に表示した「リアルな色見本帳」のことです。

カラーチャート

アパレル業界では、世界共通の紙の見本帳『PANTONE(パントン)』が有名ですが、
白のポリエステル生地をインクで染め上げていく絆工房では、
「実際に布にプリントされた、布製のカラーチャート」を相棒としています。

絆工房の現場にはありとあらゆる布製チャートが揃っています。

 なぜなら、このカラーチャートがないと、
プリンターの仕事はただの「泥沼の推理ゲーム」になってしまうからです。

非デザイナー:「この青、もうちょい“爽やかな夏の空色”に」 

プリンター:「えっ……それ、シアン何%、マゼンタ何%の設定にすればいいですか?!?」 

非デザイナー:「え?……いや、だから、夏の空だよ?ひまわりが咲いてる頃のさぁ」 プリンター:「(ひまわり……ッ!?)」

こんなポエティックなすれ違いによる悲劇を防ぐ為に、私たちは感覚ではなく、

「C30%、M10%」という冷徹な数値で正確に色を伝える必要があるのです。

なぜ昇華転写では色ズレが起こりやすいのか?

昇華転写は、単に「布の表面にインクをのせる」だけの一般的な印刷とはワケが違います。

インクに高温の熱をかけて気化(ガス化)させ
ポリエステル繊維の内部にガッチリと染み込ませる特殊技術。

そのため、インクが熱を浴びて繊維とドッキングした結果、

「紙に印刷したときとはまったく違う色に大化けする」という特有のトリックがあります。

例えば、パソコンのモニター上では「南太平洋の深く神秘的なブルー♪」見えていたとしましょう。

ところが、何も考えずにそのまま布に転写してしまうと、熱の悪戯によって
「近所の漁港にどんぶらこと浮かぶ、あの半透明なビニール袋のブルー……」になってしまうことがあるのです。

南太平洋から一気に生活感が溢れ出します。

この理想と現実のギャップを力技で埋めるのが、カラーチャートです。

絆工房では、「データ上の数値」ではなく、「熱をかけて転写した後の、実際の布の色」をはじめから基準にして色を確認していくため、打率100%のドンピシャ発色が可能になります。

「さすがプロ!」と唸る、絆工房が色ブレを防ぐ裏ワザ

ここからが、絆工房が「ただの印刷屋」ではない理由をご紹介。
(耳をかっぽじいてよく聞いてね)

色の迷宮で迷子にならないために、彼らはここまで徹底しています。

1. カラーチャートは「生地ごと」にストック

実は、昇華転写は「生地の種類によって発色がガラリと変わる」という、嘘のような本当の罠があります。

 同じインクの数値設定であっても、ポリエステル100%のサラサラした白生地と、
少し厚みのあるメッシュ生地、あるいは混合素材のグレー生地では、染まり具合が微妙に違ってきます。。

そのため、絆工房では「よく使う生地の種類ごとに、それぞれ専用のカラーチャート」をわざわざ布にプリントして用意しています。

「この生地で刷るなら、このチャートを見る」という一対一の徹底管理。

アパレルへの深い変態的知識があるからこそできる芸当です。

2. プリンターの定期的な「健康診断(キャリブレーション)」

プリンターも人間と同じです。

季節が変わり、年を重ねると、微妙にその日の調子やインクの出方が変わります。

昨日まで絶好調だったプリンターが、湿度や温度によって急に機嫌ナナメになることもあるのです。

そのため、絆工房では定期的なマシンの校正(キャリブレーション)はもちろん、
インクの製造ロット(生産時期)が変わったタイミングでも、その都度、再調整を行います。

機械の自動設定を過信せず常にベストな状態へ人間の手でハッキングを仕掛けているわけです。

まとめ:CMYKカラーチャートは「色のGPS」

昇華転写プリントの世界は、一歩間違えれば迷子になる色彩のラビリンスです。 

しかし、絆工房が誇る『CMYKカラーチャート』と、生地ごとの徹底した管理フローがあれば、それはもう「超高性能な色のGPS」を掴んだも同然。迷子になるほうが不可能です。

  1. 色指示は、感覚ではなく「数値」で伝える。
  2. 画面ではなく、熱をかけた後の「実際の布の色」を基準にする。
  3. 生地の特性に合わせて、その都度確認する。

このプロの意地とも言える3つのルールを徹底することで、
お客様からの「思ってた色と違うんですけど……」という悲しみのクレームは激減。

社内のストレス値も下がって、まさに一石二鳥のハッピーエンドが生まれます。

最後に:「黒」にこだわる絆工房の矜持

実は、絆工房は多くのお客様から「とにかく黒の発色が素晴らしい」と絶賛されています。 

ご存知でしょうか。
ひと口に「黒(ブラック)」と言っても、この世には伝統的なものを含めて242種類もの黒が存在します。

赤みがかった黒、青を孕んだ黒、漆黒……。

その中から、お客様が本当に求めている「運命の黒」をドンピシャで見つけ出す。 

それを可能にしているのは、冷徹な「データ数値」と、

そして前回のルポでもご紹介した、たまにめまいを起こすほど目を皿にする「職人の目視チェック」という、最強のダブルチェックです。

デジタルとアナログの合わせ技で、絆工房は今日も色彩の迷宮から、あなただけの最高の1色を救い出しています。

さて、次回のテーマは、今回もちらりと登場した難敵、 『RGBとCMYKっていったい何のこと?(アイドルと裏方の世界)』をご紹介します。

どうぞお楽しみ