官民一体で行う「温泉総選挙2016」の「インバウンド(外国人観光)部門」で1位に選ばれた城崎温泉。
5年で36倍の外国人観光客を集客した城崎温泉で3代にわたってお土産店を営むまるさん物産店。
客層が大きく変化した城崎温泉の中でお土産店を営む想いと絆の話しを伺いました。
■ 時代に応じてフレキシブルにそして 温かく対応するお店
『アリガト!』片言の日本語でサイダーを買う浴衣姿のヨーロッパ系の外国人カップル。
その横では、風呂敷を見ているアジア系の家族連れ。
「一昔前とは大きくお客さんの層が変わりましたね。」そう言って語るのは、2代目の奥様である脇坂優子さん。
―笠原「最初から城崎でお土産屋さんをされてたんですか?」
―脇坂さん「いえ、最初は祖父が竹野でお櫃屋をしていましたが、大正10年に城崎に移りました。プラスチックの普及、旅館の数の減少といった色々な理由で自然とお櫃の需要も減っていきました。昭和30年に商売をお櫃屋からお土産店に転向しました。」
―笠原:「昔はどんなお土産品を売られていたんですか?」
―脇坂さん:「子供のおもちゃですね。こけしなどの木竹工芸品もよく売れました。」
―笠原:「先程も言われたんですが、昔と今で客層は変わったとのことですが、どう変化しましたか?」
―脇坂さん:「昔は、日本人の一見さんや団体客が多かったのですが、今は若い女性と海外観光客が多いですね。流行に敏感な若い女性客向けの商品を揃えるようにしています。女性が入ると男性も後からついてきていただけますねね。とにかく流行が早いですね。この商品が欲しいと携帯を見せられるんですが、見せられた時には既に取り扱ってないといったこともあります。また日本人規格で作られたものは、海外の人にはサイズが(小さすぎて)合わないものもあり苦労します。コミュニケーションに関しては、スマホの自動翻訳や、身振り手振りでなんとかなるものですよ。(笑)英語サイトも作っております。」
流行も女心と一緒で早いといったところでしょうか。
■ お店の雰囲気が何よりも大切
―笠原:「お商売をする上で大事にしていることは何ですか?」
―脇坂さん:「お店の雰囲気ですね。雰囲気のいいお店がどうかは店内に一歩足を踏み入れた一瞬に分かるものです。敷居の高くないアットホームな雰囲気のお店づくりを信念としています。そのことは厳しく娘に伝えています。」
―笠原「娘さんはどうですか?なにかこうしたいっていうものはありますか?」
近くで忙しく接客されておられる3代目奈王美様。
―奈王美さん:「まるさん物産しか売ってないオリジナル商品をさらに取り揃えていきたいと思っています。」
覇気のある声と温かな人柄はお母様の大事にされているお店の雰囲気づくりの想いを既にしっかりと引き継がれておられます。
―脇坂さん:「娘には可能な限り現場(店)に出るように言っています。今は、娘にお店を任せていますが、私もなるべく出るようにしています。現場でしか分からない、学べないことが沢山ありますからね。それから粗末なことはしないし、粗末なものも売りません。商品の”質”を大切にしていきたいです。それから、やっぱり店の雰囲気づくり、これが何よりも大事だと思っています。」
城崎温泉に毎年来られる度に手ぬぐいを買われるリピーターのお客様がおられるまるさん物産店。何故毎年買われるのか?それはやはりお店の空気感を大切にされている脇坂親子の絆が引き寄せたことにあるように映ります。