メインコンテンツにスキップ

昇華プリント専門|オリジナルウェア・ユニフォーム制作|絆工房

「日本製の覚悟店で見つけたのは、商品ではなく”覚悟”だった。」

展示会には、これまで数え切れないほど足を運んできた。

AI技術が並ぶ展示会。
華やかなブースが並ぶ展示会。
名刺交換が目的になっている展示会。

もちろん、それぞれに価値がある。

しかし、7月4日に訪れた「日本製の覚悟店」は、どれとも違っていた。

そこに並んでいたのは商品ではない。

まず最初に言っておきたい。

「覚悟店」という名前、ずるい!

もう入口から負けている。

「お気軽にどうぞ♪」

そんな空気は一切ない。

「あなた、覚悟ありますか?」

と、何も言われていないのに聞かれている気がする。

猫背が自然と背筋が伸びる。


ところが会場へ入ると、意外にも皆さん笑顔なのだ。

もっとこう…

「命を削ってものづくりをしています!」

という、映画の主人公みたいな人たちばかりかと思っていた。

皆さん、とても自然に笑う。

楽しそう♪。

でも、その笑顔の奥にあるものが重い。


今回、16社出店されている中で、お二人の経営者と少しお話しさせていただいた。

お一人はこの展示会の発起人である
㈱笏本縫製の代表取締役 笏本達宏様。

もう一人は、㈱TOSCOM 専務取締役 北原亮様。

鎌倉社長が、笏本社長のXを見たのがきっかけ。

鎌倉は、同じ経営者としての苦労や覚悟にズキュン。

一方、私はというと、子どもの頃の鬼ごっこの1枚を、令和に再上映する力と表現力にズキュン。

AIなら昔の写真を高画質にすることはできる。

でも、

「あの頃のワクワク」を高画質で思い出させることは、まだできない。

焦点ブレまくった、でも、めっちゃ楽しそうな写真を見た瞬間、

「あ、混ぜてください。」

■ ㈱笏本縫製

ネクタイを縫う会社ではない。

正確に言えば、「ネクタイを通して、日本の縫製技術の価値を届ける会社」。

一度は「絶対に継がない」と思っていた縫製工場を受け継いだ笏本社長。
長年OEMとして培ってきた高い縫製技術をベースに、自社ブランド「SHAKUNONE(笏の音)」を立ち上げる。
「下請け」から「選ばれるブランド」へ。
技術だけではなく、職人の誇りまで縫い込まれた一本のネクタイには、そんな覚悟が詰まっている。


■ ㈱TOSCOM

TOSCOMは、靴下をつくる会社ではない。

「国内で靴下を作り続ける仕組み」をつくる会社。

長野にある靴下工場4代目を受け継ぎ、新たな会社として再出発。

成熟産業と言われる靴下業界にあっても、国内工場を維持しながら、自社ブランドの開発や海外展開にも挑戦を続けている。

インクジェットプリンターで作られた360度オリジナルフルプリント靴下「MalpriX(マルプリックス)」の色鮮やかさがひときわ目をひいた。

専務取締役北原様は、とにかく表情が豊か。

笑う。
驚く。
身振り手振りで語る。

お客様との会話が途切れない。

商品説明というより、会話そのものを楽しんでおられる。

こちらも取材をしたい。

(名刺を片手に人だかりの外でもじもじする社長と私)

……しかし、入れない。

入る隙がない。

なんだか邪魔してはいけない空気。

それにしても思う。

経営者と来場者との距離が近い。

いや、

近すぎる。

展示会というより、長年通っている喫茶店で常連さん同士が話しているような空気。

でも、その距離感こそが、日本のものづくりの強さなのかもしれない。

AIが商品を説明する時代になっても、

「この人から買いたい。」

そう思わせる力がこの方にはあるんだろうな、と。


短い時間だった。

それなのに、不思議と印象が残る。

経営者には二種類いる。

話を聞くと元気になる人。

話を聞くと宿題を持って帰る人。

笏本様や北原様は、完全に後者だった。

何かを教えられたわけでもない。

それでも帰りの車の中で考えてしまう。

「うちは、ちゃんと覚悟を持って仕事をしているだろうか。」


実は、絆工房も今、大きな節目を迎えている。

代表が交代した。

新しい事業も始まる。

ホームページも新しくなった。

会社のロゴは変わっていない。

住所も変わっていない。

電話番号も変わっていない。

でも、中身は変わろうとしている。

だからこそ今回の出張は、絶妙なタイミング。

神様か仏様、どちらかわからないがたまに空気を読んでくれるらしい。


ところで、「覚悟」という言葉を辞書で引くと、

「困難なことを予想し、それを受け止める心構え」

と書いてある。

しかし、ものづくりの世界では少し違う気がする。

納期が厳しい。

材料費高騰。

機械が止まる。

色が合わない。

データが違う。

お客様は今日欲しい。

営業は昨日欲しい。

現場は「今なんでそれを言う?」と思っている。

そんな毎日。

それでも最後は、

「何とかしますぅ〜😭。」

と言ってしまう。

いや、言ってしまうというより、言いたくなる。

これが、ものづくりの人間の面倒くさいところでもあり、愛すべきところでもある。


でも・・・

でも!最近はAIが何でも答えてくれる。

キャッチコピーも作る。

文章も書く。

イラスト画像まで描いてしまう。

便利な時代になった。

AIエージェントまで登場している。

誰もが思う。

「私いる?」

しかし、AIに一つだけ作れないものがある。

それは「覚悟」。

「品質に責任を持ちます。」

この一言は書ける。

でも、本当に責任を持つのは人である。

最後に電話をかけるのも人。

頭を下げるのも人。

夜遅くまで機械の前に立つのも人。

だから結局、ものづくりの最後は人間力なのではないか。


会場を歩いていると、あることに気付いた。

展示されている製品はどれも美しい。

でも、それ以上に美しかったのは、説明している社長さんやスタッフさんの目。

目がキラキラしている。

説明を聞かなくても「この人、ものづくりが好きなんだな。」と伝わってくる。

好きだから続けられる。

続けるから技術になる。

技術になるから信頼になる。

信頼になるから仕事になる。


最近、「想いを伝える」という言葉をよく耳にする。

しかし、本当に想いは伝えられるものなのだろうか。

言葉だけでは伝わらない。

パンフレットだけでも伝わらない。

動画を作っても、ホームページを新しくしても、それだけでは届かない。

覚悟がある人の言葉には、不思議と重さがある。

だから人は耳を傾ける。

そして、その覚悟に共感した人がファンになる。

今回の覚悟店でも、来場者でファンらしき人が
「差し入れもってきました。後で皆さんで食べて下さい」
「応援してます」と

いうお客さんの姿をよく見かけた。

ものづくりは、人づくり。

そして会社づくりは、覚悟づくりなのだと教えられた。


商品より先に、人が見えてくる

覚悟店の面白いところは、商品を見ているはずなのに、途中から人ばかり見てしまうことだ。

この製品はどう作っているのか。なぜこの素材にこだわるのか。どうして赤字覚悟でも続けるのか。

話を聞けば聞くほど、「機能説明」ではなく「人生説明」になっていく。

そして不思議なことに、その人生説明のほうが圧倒的に面白い。

ある意味、展示会の常識が壊れている。普通なら「スペック表をください」と言う場面で、「それで、社長はなぜこの仕事を継いだんですか?(しかも赤字経営、、ボソ)」と聞きたくなるのだ。

完全に予定外である。

後継者という名の、静かな重圧

今回、特に心に残ったのは、先代から会社を受け継いだ経営者たちの姿。

外から見ると、「家業を継いだ人」に見える。

しかし実際は、その一言では片づけられないはず。

先代が築いた技術。
お客様との信頼。
地域とのつながり。
社員の生活。

これら全部を背負ったうえで、「次のステージ」を作らなければならない。

しかも、きっと周囲からはこう言われる。

「お父さんの代はこうだったよね!」

「昔はもっとこうだった。」

「先代ならどうしたかな。」

……きゅるきゅる、胃が痛くなる。

実は、これは絆工房にとっても他人事ではない。

2年前、私たちも代表交代という大きな節目を迎えた。

会社を引き継ぐというのは、

鍵を受け取ることではない。

「期待」と「責任」と「歴史」をまとめて受け取ることだ。

しかも取扱説明書はない!

だからこそ、覚悟が伝わる

覚悟店にいた経営者たちは、決して派手ではない。

大声で夢を語られてもいない。

それでも、短い会話だけでも伝わってくる。

「この人、ほんとに真摯に向き合っているんだな。」

その社長たしの静かな熱量が、会場全体に包んでいた。

地方だから難しい。

人手不足だから厳しい。

価格競争が大変だ。

そんな現実は、周知の事実。

それでも、「だからやめる」ではなく、「それでも続ける」を選んでいる。

その姿を見ていると、こちらまで背筋が伸びる。

いや、正確に言うと、猫背だった背中が少しだけ伸びた。

効果はたぶん3日くらい続く。

帰り道に残ったもの

帰る頃には一つの目標ができていた。

「次は、お客様として来るのではなく、出展者としてここへ立ちたいな。」

もちろん、出展すること自体が目標ではない。

「絆工房さんに会いに来ました!」

そんなお客様が一人でも増える会社になること。

それが目標。

帰社すると、社内で聞かれた。

「覚悟店、どうだった?」

一言で答えるなら、

「展示会だった。」

二言で答えるなら、

「社長の人生披露展だったかな。」

三言で答えるなら、

「ちょっと悔しかったかな。」

あんな会社になりたい。

あんな経営者になりたい。

あんなチームでありたい。

そう思わせてくれる展示会。

憧れだけでは動けない。

2023年のWBC決勝前に大谷翔平選手が発した「憧れるのをやめましょう」という言葉を

思い出す。

代表が変わり、新しい挑戦が始まった絆工房。

これから先、失敗もあるだろう。

今日もプリントがバグったよん😭。

遠回りもするばず。

それでも、HPでも謳っているように覚悟だけはなくさないようにしよう。

いつか再び「覚悟店」を訪れたとき、

今度はにっこり笑って

「私たちも、この場所に立てる会社になりました。」

そう報告できるように。

今日もまた、一枚一枚、一着一着、一つひとつ。

覚悟を込めて、ものづくりを続けていく。


最近の展示会あるある

最近の展示会は、AIやDXの波もあって、ずいぶん様子が変わった。

入場した瞬間から始まるのは、

「QRコード読み取り争奪戦」。

「こんにちは!」より先に、

「QRコードを読み取っていいですかぁ?」

さらには、お菓子で釣る。

お菓子なんかで、と心の中で思いながら、ビジネススマイルで断っても断っても

「この塩味、美味しいですよ!」と

行く手を真正面で立ちふさがる。

……違う。今日は情報収集に来たのであって駄菓子なんかに

騙されないわよ、ね、社長。

振り向くと社長、その手にはしっかりと塩味せんべい。

もらってるんか〜い


そして、AI展示会ともなれば、さらにすごい。

「AIが資料を作ります。」

「AIが営業します。」

「AIが電話します。」

「AIが動画を作ります。」

「AIが議事録を書きます。」

「AIがAIを管理します。」

ここまで来ると、

「じゃあ私は何をしたらいいんですか?」

と思わず聞きたくなる。


AIの時代だからこそ、

最後に選ばれるのは、

AIが作った商品ではない。

覚悟を持った人が作った商品だ。

そして、その覚悟は、

QRコードでは読み取れない。