はじめは虚弱体質だったポリエステル、その誕生秘話
化学繊維の中で市場で一番多く生産されているのは、
何かご存知ですか?
それは、ポリエステル。
水に強く洗濯してもシワなし、縮みなし、型崩れなし、おまけにアイロン不要の、
よくぞウィンフフィールドとディクソンさん発明してくれました。
絆工房も、このポリエステルを使用してスポーツチームTシャツを作成しています。
今では、繊維界だけでなく、医療、宇宙開発事業に、様々にその利点が生かされて
需要の多いポリエステルですが、発明当初は多くの弱点があったらしです。
今回は、万能に見えるポリエステルの歴史についてご紹介します。
❏ ウィンフィールドとディクソンって誰?
この二人の研究・発明の前に実はもう一人ポリエステルを実質上発明した人がいます。
名前は、カローザス博士。
実はこの人はナイロンを発明したことの方で有名な人ですが、
ポリエステル系の繊維を最初に発明・研究した学者でもあります。
世界初の化学繊維を発明したカローザス(from wikipedia)
初期のポリエステルは、融点・軟化点が低くて、
お湯につけるとドロドロに溶けるという、Tシャツ生地を作るどころではない
状態の繊維でした。
その実験結果にがっかりしたカローザス博士は、なんと、
研究をギブアップ。
同じ化学繊維のナイロンの方では成功を収めたものの、
「自分は何も達成できておらず、才能が枯渇した」と悩むようになり
功績の大きさに自分は気付くことなく、うつ病を患い無名のままこの世を去ります。
天才ほどよく悩む。
そうして、一時は、研究開発が頓挫したポリエステルでしたが、
1941年、イギリスの化学者、ウィンフフィールドとディクソンさんが再び着手。
石油から出来ているポリエチレンテレフタレート、これを溶解
↓
小さな穴から糸状に抽出したものを冷却
↓
繊維に加工したものが、ポリエステル繊維。
二人の手によって、ドロドロに溶けることない繊維が誕生しました。
これを、1953年、イギリスのICI社とアメリカのディポン社が製品化。
日本に入ってきたのが、それから数年後になります。
昇華プリントでオリジナルTシャツを製作している絆工房ももちろん
使っているのはポリエステル。
色落ちせず、速乾性もある優等生のポリエステルですが、
最初から最強の化学繊維ではありませんでした。
何事もあきらめずに続けることが大事ですね。
そのことは、分野が違っても青色LED発明で
先週、ノーベル物理学賞を受賞した、赤崎、天野、中村3氏からも
分かります。
絆工房の昇華プリントも、ウィンフフィールドとディクソン氏、そして
その後の世界、そして日本の企業のたゆまぬ研究開発によって
300回洗濯しても色落ちしないTシャツを誕生させています。
一度手にとってその良さを確かめて見て下さい。
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